Imari Tones (伊万里音色)の楽曲、”Born To Ride”のミュージックビデオが完成しました。
先日、YouTubeにアップしました。
今までも僕らが作ってきたような「手作りミュージックビデオ」なのですが、
今回の”Born To Ride”は、ちょっと特別です。
たぶん、なんというか「労力」から言うと、今まで作ったビデオの中でもかなりかかっている方ではないかと思います。
そういえば今からちょうど一年くらい前に、僕らのバンドの代表曲である”Faith Rider”のビデオを公開したのでした。
それは、「ロードエンジェルス神奈川支部」の皆さんのご協力を得て、
1月の雪がちらつく寒い日にバイクの撮影を行ったものですが、
バイクの映像と僕らのクリスチャンヘヴィメタルが融合した、
素晴らしいビデオを作ることができました。
ありがたいことです。
それから早くも一年。
この”Born To Ride”は、”Faith Rider”に続く、ライヴで使い勝手のいいヘヴィメタルアンセムとして書いた曲ですが。まあ、今までのImari Tonesのレパートリーの中ではもっともThrash Metalに近づいた楽曲でもありますが。
今回も気合いの入ったヘヴィメタルな楽曲と、苦労して作ったビデオ!です!
そもそもの始まりは2012年に遡ります。
2012年の9月、アメリカで長く続いているクリスチャンミュージックとエクストリームスポーツの伝道ツアーである”The Extreme Tour”に日本のバンドとして初めて参加していた僕たちは、スケートパークでの演奏やイベントを何度か経験しました。
そして実際のところ、「スケートパーク」という場所自体が、僕には初めての体験でした。(日本にも、スケートパーク、と呼ばれる場所が、それほど多くはないけれど、あるのを、今では僕も知っています。)
そして、ほとんど人生において初めて(そりゃ、少しくらいは見たことはありましたけれど)、スケートボードというものを、目の前でキッズたちがスケートする様子を、僕は目の当たりにしたのでした。
そしてそのツアーに参加した日程の終盤、モンタナ州のとあるスケートパークのイベントの際に、僕は決意します。「よし、日本に帰ったら、僕もスケートボードを始めるぞ!」と。
かなり、いかにもあっさりと決意します(笑)
そして、2012年10月、僕は手探りで、スケートボードを始めたのでした。
まあ、そうはいっても、インターネットでいろんな情報が手に入る今の時代。
たった一人で始める、とはいっても、それほど情報とかHow Toには苦労せず。
そしてそのスケートボードというものをきっかけに広がった新しい世界は、音楽的にも僕にとって新しい扉を開いてくれたのでした。
そしてその頃まもなく、僕はこの”Born To Ride”という曲を書きます。
(ちなみに白楽の駅のホームに立っている時に思いついた曲なので、最初のデモのワーキングタイトルは”Hakuraku Mezzanine”でした。)
そしてその2012年のThe Extreme Tourの素晴らしい体験と仲間たちとの出会いによって、いろいろとテンションの高かった僕は、自由奔放に楽曲が溢れ、それらの楽曲をバンドで取り組んで演奏していたのが、ああもうそれが2013年のことだったんだなあ。そしてそれらの楽曲が、昨年2014年に録音して、今年発表する予定の”Revive The World”と名付けた作品というかアルバム、になるのですが。
で、無名のインディーズミュージシャンである僕が、スケートボードというものに出会って、インスピレーションを得、スケートボードについての楽曲を書く。これはひとつ、それでいいでしょう。That’s one thing.
けれども、そのビデオを作るにあたって、当然スケートボードの映像を使いたい。普通はそこで、誰か上手い人の映像とか、名のあるミュージシャンなら、それなりに名のあるスケーターの人とか、そういうふうに他人の映像を使うと思うんですが、僕は今回、そのスケートボードの映像というか、スケートのフッテージも、自分でやってしまったわけです。That’s totally another thing. これは、ちょっと頑張った方なんじゃないかと。しかも、そこまで2年ちょっとでたどり着いたわけです。
まあ僕も間違いなく自分を誉めてあげることで、やる気を保っている方ですが、これはちょっとばかり、2年ちょっとで自分でその曲の映像を、自分のスケートでやっちゃうことができた、というのは、たぶん少し自分を誉めてあげていい場面だと思っています。
たとえばアメリカであれ、スケートボードが流行っているから、人気があるから、じゃあスケートボードの曲を書こう、みたいなのはたくさんあると思うんですが、
実際にそこから自分でスケートボードを始め、自分のスケート映像を使ってその曲のビデオを作ってしまう、というのは、もう少し踏み込んだことではないか、と。
まあ音楽とスケートのつながりは昔からありますし、ミュージシャンでスケートをする人たちもたくさんいるとは思いますが。逆にスケートの世界で、Josh Harmonyみたいに、プロスケーターだけど音楽もやってるよ、みたいな人もいますね。
音楽でもそうですがスケートボードにもいろいろなスタイルがあり、その取り組み方は人それぞれなわけですが、僕はどちらかというとスケートボードに「スピリチュアルな」魅力と可能性を感じて始めた、「アートとしての」スケートを考えている方です。
そしてまたかなり歳をとってから始め、ミュージシャンとして表現していくことの延長でもある僕のスケートの道は、始めてから2年ちょっとであれ、そしてこの2年あまりの間にも、僕にしか見えない僕だけのスケートというものがあっただろうと思います。
そういうわけでもうひとつの理由となったのが、
1年半前にYouTubeにポストしたこのビデオですね。
スケートボードを始めて8ヶ月というか、9ヶ月目にあたる時期にiPhoneでざっくり自己撮影した映像に、ミュージシャンとしての語りとか、スケートを始めた理由とかを絡めた、たわいもない映像なんですが、
初心者であることを逆手にとって、
初心者ならではのスケートボードの魅力というか、
純粋にスケートすることの喜び、
少しずつ上達していく過程、
上手くなってしまったら却って表現できないような、
そういう、その時の自分にしか表現できないスケートボードというものを、
案外うまく表現できているんじゃないかと思える映像です。
まあ、自分の「病気っぽさ」も多分に表現されています(苦笑)
この頃は、キックフリップやヒールフリップを覚えたばかりで、
カメラの前でキックフリップを決めるのが一苦労だったんですよね。
(まあ、今でも僕のキックフリップ、たいしたことないですが)
で、昨年の秋頃からでしょうか。
どこかで紹介でもされたのか、いきなりこの動画のアクセスが増え出しまして、
今ではうちのバンドのYouTubeチャンネルで、いちばん視聴回数が多い動画になってしまいました。
何年も前にアップしたFaith Riderの静止画簡易バージョンが、今、10,500viewsくらいなんですが、この「スケート始めて10ヶ月」の動画が、今ちょうど14,000viewsですね。たぶん、まだまだ増えるでしょう。
バンドのチャンネルなのに、楽曲のビデオではなく、スケートボードのビデオが、いちばん視聴回数が多いというのはちょっと複雑ですが、まあそれでもこのビデオにもちゃんとImari Tonesの昔の楽曲がBGMとして使われていますしね。まあいっか、と。
で、問題だったのは、この「スケート始めて10ヶ月」のビデオに、アクセスが増えるとともに、いっぱいコメントがつくようになった。で、このビデオがアップされたのは一年以上前なのにもかかわらず、ビデオを見てコメントをくれるキッズは、そこのところがあまりわからず、あーだこーだいろいろなコメントが付くので。
一刻も早く、それから少しは上達した自分のスケートの映像をアップしたかった、というのがあるのです。
そして、せっかくその動画にアクセスが集まっているんだったら、今のImari Tonesの、スケートボードソングを、良い感じのスケート動画とともにアップして、バンドの楽曲にアクセスを集めたい、と思うのは自然の流れです。
というわけで、一刻も早く完成させてアップしたかったこの”Born To Rideのビデオであるのです。
で、自分の目標としてはこれを2月中になんとかアップしたかったのよ。
というのは、自分は2012年の10月にスケートを始めたので、まあより正確に言えば2月度は、スケート始めて2年4ヶ月ってところなんだけれど、日割りとかで数えれば、2年3ヶ月って言えるかな、って思って。「スケート始めて10ヶ月」の映像の続編としては、「2年3ヶ月」っていうのが、なんか数字とか語呂として美しいように思えたんだ(笑)。まあこの2年の間にも、The Extreme Tour Japanの期間中とか、録音作業をしていた期間とか、1ヶ月スケートできなかった、っていう時期も何度かあるしね。
で、まあそりゃ、2月に撮影して、アップするのは数ヶ月後でもいいじゃないか、って思うけれど、今どきのYouTubeとか見てるキッズにはそういう時間差は「絶対に」理解できないので(苦笑)
なんとか2月中に速やかにアップしたかったんです。
で、本当に睡眠不足とかで死にそうになりながら、動画の編集をし、
ぎりぎり2月28日の夕方にアップした、という。
ちゃんと「日本時間で」2月28日にアップしたぜ!
で、スケートの撮影、も大変だったけれど、
その撮影した映像の編集、というか整理、が、もっと大変だった。
何日かかけて撮影した自分のスケート映像から、まあ固定カメラ置いてその回っているカメラの前で技を決めるのは思いのほか大変だったのだけれど、そこからどんな技を決めたか、チェックして、整理する。つまり、iPhoneで撮った映像から、決まった技ごとにファイル書き出して整理したんだけれど、書き出すのだけでもパソコンが遅いから、ひとつにつき10分とかかかるでしょ。かといって、全部チェックしてからでないと、どの技がどの時点で、ベストなものが決まっているかわからないから、やるしかないし。ほとんど悪夢でした。(でも実際に曲のビデオで使われたのは、そのほんの、ごく一部でしかなかったのだけれど涙)
まあでも、その動画ファイルの整理さえ出来てしまえば、例のごとく、一日でざっくりと、作りました。でも自分のMacBookの処理速度ではiPhone5Sとかの映像の解像度も高いので、Final Cut上で、ほとんど「カクカク」としか映像が見れず、音と映像のタイミング合わせとか、画面の切り替えをどう処理するか、とか、まったくできなかった! 前はもうちょっと出来ていたのに。iPhone4で撮った絵とか、古いカメラの絵のときはもっとさくっと処理出来ていたけれど、iPhone5Sになると解像度がフルHDのせいなのか、リアルタイムで処理できていなかった。これはショックだ。だから、歌っている口の動きと、音が、合ってなかったりする。でも、はっきりいってそのへんは気にしない!(笑) しょせん、音にはそれなりにこだわるけれど、大きな予算のかかった昔のメジャーのPVならともかく、今のインディーズミュージシャンがYouTubeなどで発信する映像作品なのだから、細かいことにこだわっていたら死んでしまう!
そしてスケートのフッテージですね。
僕に出来るのはフラットトリック、つまり平らな場所で各種フリップなどの技を決めること、くらいです。
スケートを始めて2年間、ほぼフラット中心にやってきたので。
それは、自分の性格もありますし、練習している環境のせいも多分にありますが、ヘヴィメタルのテクニカル系ギタリストの僕としては、スケートボードでも、テクニカルに技を決めるスタイルの方が、なんだかしっくりきた、ということでもあります。
前にも書いたかもしれませんが、
この曲”Born To Ride”の歌詞に、「キックフリップ」ならびに「ビッグスピン」という技の名前が出てきます。
これは、この曲の歌詞を書いたとき、まだスケートボードを始めたばかりの頃に、スケートボードのトリックの種類を眺めていて、歌詞の中で使えそうなかっこいい名前の技を選んで抜き出したものです。
そしてその時は、キックフリップも、ビッグスピンも、はるか未知の、そんな技、自分に果たしてできるだろうか、というまったく謎の技でした。
けれども、こうして2年ののち、その曲の録音を終え、ビデオを作ろうという頃に、どちらの技も今では、「難しい技」では必ずしもなく、どちらかというと「気軽にさくさく決めることのできる技」になっていた。
そしてあろうことか、スケートボードのフラットトリックの中で、難しい技の象徴というのか、大ボス的な位置にある”TreFlip”(トレフリップ、360キックフリップ、別名サブロクフリップ)も、決めることができるようになっていた。苦労して何度もチャレンジしてカメラの前で決めたときは感動でした。
そんでもって、プロのスケートビデオなどで見ることのできる華麗な技であるフロントフリップやバックサイドフリップも決めることができたし、
さらにこれも「名前がかっこいいから」という理由で、「不可能」なんていう技は、不可能なんて言われたら絶対にやるしかない、という”Impossible” (オーリーインポッシブル、Ollie Impossible)も、出来るようになったどころか、今では得意技になっていた。
それとともに、自分のギタリスト人生の究極の回答である新たな愛用のギターBacchus “猫ポール” (BLP-STD-FM 2011年モデル)でもって、最高のサウンドを実現したこの曲で、自分のスケートボードを始めて2年余りの集大成をこうして(まだまだ初心者なりにであっても)形にすることができたこの”Born To Ride”。
自分としてはかなり、かなり、達成感でいっぱいです。
しばらくは何もしたくない、というくらい。
2月に入ってから、スケートの撮影をやったけれども、
果たしてこのちっぽけなビデオのために、
けっこういろんな犠牲をはらったことか。
仕事とか収入とか。膝とか腰とか手首とか。
涙。
うちの嫁さんとか、バンドの皆とか、ビデオに参加していただいたNobuさん、Midoriさん、そしてソルフェイのオオハラ氏。
あれね、スケートフッテージ撮影を終えて、どうしてもオオハラ氏のスケートしてる絵を撮りたくて、町田に行ったのだけれど。
昨年11月の2度目のThe Extreme Tour Japanに参加してくれたオオハラ氏。
あれをきっかけに、彼も少しずつスケートを始めていて。
町田のストリートを、一緒にすべってくれて、それで追い撮りを互いにしたりして、シンプルであっても追い撮りの絵が撮れて、それをビデオに織り込むことができた。
とてもよかったし、感謝しているし、なんか、一緒にすべる、というのは、非常に格別な喜びがありますね。なかなかふだん一緒にスケートできる友人も多くないだけに、余計に。
あとはあれだ、ビデオの最後の、スケートボードを池に落とすシーン。
スケートボードを噴水とか、池に水没させちゃうシーンって、実はけっこう、プロのスケートビデオでも見かける場面なんだけれども。
これも一年半くらい前にね、今は名古屋にひっこしてしまったドラマーの友人と、その公園に行ったとき(まあ元住吉のあそこなんだけれど)、その池のふちのレッジでボードスライドみたくやろうとして、ミスして池にデッキを落としてしまったことがあって。
で、今回、どこで撮影しようか考えてるうちに、思い出して、そうだあそこの池にもう一回デッキを落とそう、と(笑) それをビデオのオチに使おう、と。
ただ、まあ全然すべらないレッジなんで、ボードスライドとかやる感じじゃないけれど、一年前よりは多少うまくなってるんで、なかなか間違ってデッキを池に落とす、ってのができなくて。どうやったらわざとらしくなく、演技でない感じで、自然に池にデッキを落とせるかな、って試行錯誤して。で、結果、バックサイドで50/50とか、僕はまだぜんぜんできないから、バックサイドでレッジにデッキをのせにいったら、きっとバランスを崩すに違いない、と、何度かやってみたら案の定。見事に池にデッキを落とすことができました(笑)
こういう要素は絶対に入れたかった。
あとは、ビデオを通じて、僕は”Revive Skateboards”のフーディーを着てるし、
まあ僕はスケート始めたときからRevive(当初はRevengeという名前だったよね)のことはファンで、それはまあ、面白いからなんだけれど、今時のYouTubeから発信してるスタイルが、Underdog的な要素も含め、インディーズミュージシャンの立ち位置と、やっていることが重なるので、ファンなんだけれども。
言葉の問題もあり、日本のスケーターたちがRevive Skateboardsのことをどれだけ認知してるかわからないけれども、この極東の地にも共感してる者がいるぞ、ということをアピールしたかった(笑)
さて、スケートの撮影中に何十回も転んで、手首もしばらく安静にした方がいいし、これから新しい仕事探すし(涙)、
達成感を得たこともあり、また一ヶ月くらいはスケートしたくないくらいの気分ですが、
これからの僕のスケート人生が、どのように続いていくか。
この初心者期間の集大成であるBorn To Rideのビデオを作ったことで、
まあスケート始めて2年という期間が経過したこともあり、
初心者としてのフェイズも事実上終了しますので。
(気持ちとしてはまだまだまだまだ初心者だけれど)
初心者フェイズで証明すべきことはすべて果たした、
ということで、これからまた僕のスケートは自由に広がります。
次に映像作るなら、それはもっと自由なものになるべきなので、
技とかテクニックにこだわらず、自分の世界を広げていきたいと思います。
どうもありがとう。
皆さんありがとう。
関わってくれる人にありがとう。
そしてThank you Jesus for Skateboarding。
音楽とともに、このスケートボードというものが、
僕を、僕の精神を、より高みに、そして世界のいろんな場所に、
いざなってくれることを信じています。